HOW Envipro Group contributes
to a Circular Economy
エンビプログループの取り組み

サーキュラーエコノミーにおける当社の目指す方向性

サーキュラーエコノミーの拡大が想定される中、当社事業を取り巻く周辺環境を整理して見えてくるのが、グリーンマテリアル需要の高まりです。

グリーンマテリアル

当社は、グリーンマテリアルを「温室効果ガスの発生がない、もしくは、発生量が極めて少ない方法で地上資源(廃棄物)から作られる素材(再生原料、再生材料)」と定義していますが、世の中に流通しているあらゆる製品においてこれらグリーンマテリアルが求められるようになっていくと考えています。グリーンマテリアルをサプライチェーンの中できちんと動脈の調達・製造プロセスへつないでいく事で、初めてサーキュラーエコノミーが成立するものと考えており、なかでも、「鉱物資源のグリーンマテリアル化」と「プラスチックのグリーンマテリアル化」がより加速していくものと認識しています。当社は、この2つの領域におけるグリーンマテリアル化について積極的に取り組んでいく事でサーキュラーエコノミーの実現に貢献したいと考えており、動脈の調達で求められる重要な3要素である品質・コスト・納期(QCD)に、脱炭素・低炭素(C)を加えたQCDCを満たす、低炭素プロセスによる地上資源由来の素材(再生原料・材料等)メーカーになることを目標にしています。

グリーンマテリアル定義

グリーンマテリアルを実現するための基礎的事項

❶ カーボンニュートラルプロセス実現に向けた取り組み

グリーンマテリアルは、「温室効果ガスの発生がない、もしくは、発生量が極めて少ない方法で製造されたもの」との考えから、当社は、2050年までのカーボンニュートラルと2030年RE100をコミットメントしており、地上資源(廃棄物)から再生原料を製造するまでのプロセスのカーボンニュートラル化に取り組んでいます。既に事業全体の再生可能エネルギー比率は95%に達成しており、RE100リサイクル工場が複数存在し、温室効果ガスの発生が少ない再生原料製造を実現しつつあります。

RE100 : 企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ

電力消費量・再生可能エネルギーの比率の実績と目標

❷ リサイクル・リマニュファクチャリングの高度化によるグリーンマテリアルの品質向上

グリーンマテリアルには、製品の要求スペックに合わせた品質が求められます。そのためには、地上資源(廃棄物)を物質の特性に合わせて高精度に選別し異物を除去する技術が必要です。当社は、これまで培ってきたリサイクル技術をベースに、自社独自のノウハウを高度化し高品質な再生原料の製造を行っています。更にこの取り組みを推し進め、再生材料を必要とする側のメーカーの要求品質を理解しその要求に応える再生材料の製造をするための技術的なイノベーションを通して、地上資源由来の素材(再生原料・材料等)メーカーになる事を目指しています。

サーキュラーサプライチェーン全体における当社の役割

当社は資源循環事業を行っており、当該事業を通じたサーキュラーサプライチェーンにおける当社の位置づけと役割を以下のように整理しています。

サーキュラーサプライチェーンにおいて資源を循環させるためには、地上資源(廃棄物)を回収する事が必須となります。しかしながら、製造や販売を主体とする動脈サプライチェーンは、製品の販売時に製品と原材料のその後の管理を失ってしまい、回収する事がビジネスのシステムとして組み込まれていません。当社は、スクラップや廃棄物の収集運搬はもとより、一度、市場に流通して廃棄されるいわゆるポストコンシューマー廃棄物の回収システムの構築や回収から再資源化までのサーキュラーエコノミーモデル構築に関するコンサルティング等を通じて、必要な量を安定的に、且つ、効率的に回収する機能を担う事業に注力し、地上資源回収に関するキーワードを考慮しながら仕組みで回収するシステム化を推進しています。

地上資源回収に関するキーワード

  • 広域的な回収システムの構築(広域認定/プラ新法自主回収認定)
  • 回収プロセスのCO₂削減
  • 廃棄物のチェーン・オブ・カストディ(管理の連鎖)

リユースは、製品や製品に含まれる部品等を再使用する事ですが、リサイクルよりも温室効果ガスの発生が少なくより環境負荷の小さい資源循環と言えます。当社は、自動車や自動車のエンジンおよびオフィスや家庭からの撤去品のリユース事業を手掛けています。リユースできるものとリユースできないものを合わせて回収し、リユースできないものはリサイクルに回すワンストップサービスでサーキュラーエコノミーモデルにおける静脈の最初の間口を広げ資源循環量の最大化を図っています。

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当社は、中間処理、つまり、破砕・選別による物理選別の高度化による徹底した異物除去と求める物質の選別・濃縮により再生原料の品質向上を図っています。落じん灰(焼却灰)に微量に含まれる金銀滓の選別・濃縮は、当社技術を象徴する例でありますが、リチウムイオン電池からのコバルト・ニッケル・リチウム等の鉱物資源を対象とした選別・濃縮技術もこれら物理選別技術およびノウハウの帰結です。これらは鉱物資源やプラスチックのグリーンマテリアル化には欠かせない技術であり、当該技術が基礎となってサーキュラーエコノミーモデルが回っていると言っても過言ではありません。

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リマニュファクチャリングは、再製造とも訳されますが、当社では、下図のように

  • 地上資源からリサイクルされた再生原料をメーカーの要求品質に合わせて再生材料化するプロセス

を指してリマニュファクチャリングと定義しています。現在、当社は再生原料化までの事業を行っていますが、廃リチウムイオン電池・廃プラスチック・廃タイヤの領域においても再生材料化に向けた取り組みを試行しています。「地上資源由来の素材メーカー」になるとは正にこの領域へのチャレンジであり、この認識のもと新規事業投資を行い、再生原料化・再生材料化を通じたグリーンマテリアル供給を拡大することこそが、サーキュラーエコノミーにおける当社の役割と認識しています。

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リマニュファクチャリングの表

グリーンマテリアルは、それを必要としているメーカーとの連携と安定して供給できる機能が欠かせません。当社では、グローバルな静脈流通機能を有しており年間約70万tの再生原材料を流通させています。鉱物資源である鉄スクラップ・非鉄スクラップ・金銀滓等の貴金属および再生燃料、再生プラスチックなどを国内外のメーカーに届ける流通網を活用し安定したグリーンマテリアルの供給を行っています。動脈の調達で求められる重要な3要素である品質・コスト・納期(QCD)のうち、納期に関する機能の充実とその取引から得られる情報を通してグリーンマテリアルのニーズを把握し、新商品開発へと繋げることでサーキュラーエコノミーの実現に貢献しています。

サーキュラーエコノミー実現に向け、
当社に求められる新たな機能

当社は、サーキュラーエコノミーの実現に向けて当社に求められる新たな機能を以下のように整理しています。

製品製造、販売の動脈サプライチェーンとリサイクルの静脈サプライチェーンは分断され、サプライチェーンにおけるそれぞれの主体者は、自社プロセスでの役割に終始し、全体最適のサーキュラーエコノミーモデルを構築するだけの全体的な知見とノウハウおよびネットワークを有していません。当社は、静脈側の立場から、地上資源(廃棄物)の回収からリサイクル、リマニュファクチャリング、グリーンマテリアル供給まで一貫した知見をベースにグリーンマテリアルを必要とするメーカーと連携しながらサーキュラーエコノミーモデルの構築に取り組んでおり、サーキュラーエコノミープロバイダーとしての機能を担っています。再生原料は、メーカーの要求品質を満たす再生材料まで品質を上げる必要があり、どの商品で再生材料を使用するかについての用途開発もメーカーとの協議や材料試験、試作品製造のプロセスから見出されるものであり、リサイクル技術や設備だけではサーキュラーエコノミーモデルを確立する事はできません。動脈と静脈を繋ぐコーディネート機能が必要であり、メーカーとの協業による知見とノウハウの蓄積でサーキュラーエコノミープロバイダーとしての機能強化を図っています。

カーボンニュートラル

グリーンマテリアルの前提は、地上資源(廃棄物)から製造されているという事が前提です。そのため、つくられたグリーンマテリアルの起源が地上資源(廃棄物)であることを示す必要があり、チェーン・オブ・カストディー(管理の連鎖)でトレーサビリティーを担保する事が必要となります。この課題解決のため、当社では、サーキュラーエコノミーのトレーサビリティーシステムの開発に取り組んでいます。

チェーン・オブ・カストディーの図

当社におけるグリーンマテリアル供給の
具体的な取り組みコンセプト

当社は、事業領域におけるグリーンマテリアル需要の急拡大を以下のように整理しています。

電炉増設による鉄スクラップの需要増加 電化による非鉄金属・レアメタルの需要増加 廃プラスチックの高度な資源循環促進
電炉増設による鉄スクラップの需要増加 電化による非鉄金属・レアメタルの需要増加 廃プラスチックの高度な資源循環促進

上記のそれぞれの項目に対して、当社は以下の具体的なコンセプトを設定し取り組みを開始しています。

世界のカーボンニュートラルの流れを受けてあらゆる製造メーカーが、製品の脱炭素化に邁進しています。鉄鋼メーカーでも、製造プロセスおよび調達原材料の脱炭素化を計画しておりゼロカーボンで製造されるグリーンスチールの需要拡大が見込まれています。同業界では、鉄鉱石から鉄を作る高炉に比べて、鉄スクラップから鉄を作る電炉のCO₂発生量が1/4と言われており、電炉設備の増設が世界的潮流となっています。このような背景から電炉の原料となる鉄スクラップ需要の増加が見込まれており、鉄スクラップ自体のゼロカーボン化が期待されています。

当社は、年間約70万tほどの鉄スクラップを加工、流通させ鉄鋼メーカーに再生原料として供給していますが、これら鉄スクラップの加工、流通プロセスの脱炭素化に取り組むことにより、温室効果ガスの発生がない、もしくは、極めて少ないグリーンスクラップの供給に取り組んでいます。既に、複数のRE100工場で鉄スクラップが加工されており、大幅なCO₂発生量の削減を実現しています。グリーンスチールのサーキュラーサプライチェーンの中で、グリーンスクラップの供給で貢献していきます。

グリーンスクラップ(ゼロカーボンスクラップ)

グリーンスクラップの図

国内の鉄スクラップ発生品が重厚長大型から軽薄短小型に変わってきており、薄物くずや付帯不純物の多い下級くずの増加傾向が顕著となってきています。下級くずの増加は、製鋼歩留りの低下につながり循環性を損ねるため、下級くずの高品位化が、今後、鉄のサプライチェーンにおける重要なテーマになっていく事が予想されています。当社は、長年蓄積してきたシュレッダーによる破砕技術と高度な選別技術を、今まで以上に進化させ、これらの課題に積極的に取り組んでいく事で鉄のサーキュラーエコノミーモデルの促進に貢献していければと考えています。

カーボンニュートラルにおける再生可能エネルギーの普及に伴い、EV車に代表されるようにさまざまな施設・機器が電化されています。電化された製品には、非鉄金属やレアメタル等が多く含まれています。再生可能エネルギーを貯めるためのリチウムイオン電池にも、銅、アルミニウム、コバルト、ニッケル、リチウムなどの鉱物資源が多く含まれ、これら物質の再資源化が望まれています。

当社では、再生可能エネルギーの普及に欠かせない電池to電池のサーキュラーエコノミー事業を開始し、リチウムイオン電池のリサイクルを実施しています。現在、リチウムイオン電池を、焼成、破砕、選別する事でコバルト、ニッケル等の混合物であるブラックマス(以下「BM」と言う)の再生原料製造を行っています。同工場は、RE100工場となっており極めて少ない温室効果ガスでBMは製造されグリーンマテリアルとなっています。

製造業へのチャレンジ

電池 to 電池のサーキュラーサプライチェーンを確立するためには、BMの再生原料製造では十分とは言えず、当社は、湿式精錬によるBMからの硫酸コバルトや硫酸ニッケルの製造およびその先の前駆体などの材料製造までを含めた連動した生産システムが必要であると考えています。当社は、廃バッテリーの回収から電池製品の製造に繋がるグリーンマテリアルの供給で電池 to 電池サプライチェーンの実現に貢献していくことを目指しています。

電池 to 電池のグリーンマテリアル供給

大量に生産・消費・廃棄される廃プラスチックは大きな社会課題となっており、また今後も化石資源用途として伸び続けることが想定されていることから使用量の削減と再資源化による資源循環が世界的に強く求められています。使用量の削減については、環境省によるレジ袋有料化のような象徴的な試みから、容器包材メーカーやブランドメーカーによるモノマテリアル化や紙等代替素材への移行まで、幅広く試行錯誤が行われておりますが、当社では多層的なリサイクル手法の組み合わせによる資源循環の高度化に取り組んでいます。

当社が既に行っている産業廃棄物由来の固形燃料製造(RPF)は、石炭代替燃料(33%CO₂削減)として今後も需要拡大が見込まれます。再生プラスチック原料としての資源循環が困難な低品位の混合プラスチックをエネルギーとして循環させるため、大口の需要家である製紙メーカーとの連携を強化しながら、固形燃料製造に注力していきます。そして、サーキュラーエコノミーへの移行およびプラスチック資源循環促進法の制定を背景に自治体やブランドメーカーから求められるマテリアルリサイクルについては、他社との提携も視野に入れながら対応できる事業の準備を進めています。ここで発生する処理残渣は燃料製造に回すことで資源循環を効率化します。

更に、これらの事業展開による廃プラスチックの回収能力強化と前処理運営ノウハウの蓄積を活かして、中長期的に社会実装されると想定されるケミカルリサイクルに取り組むことも構想しています。最終的にはマテリアルリサイクル ・ケミカルリサイクル・エネルギー回収(サーマルリサイクル)の3つの手法を組み合わせることで最適かつ効率的な循環モデルを構築し、廃プラスチックの高度な資源循環を実現します。

リサイクル手法の多層的な組み合わせによる資源循環の高度化

リサイクル手法の多層的な組み合わせによる資源循環の高度化

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